「育てにくい子」と共に生きる

発達障害の長男と共にたくましく生きていくため、日常をつづりたいと思います。

診断がついて良かった

発達障害と診断された小学生の長男のほかに、うちには未就学の次男がいます。次男はおそらく定型発達(障害なし)かと。長男を育てていたときと違って、今のところ発達について不安になることがありません。滅多に癇癪を起こさない、急に走り出したり危ない行動を取ったりしない、先生の話をよく聞いてすぐ指示通りに動ける、いつも穏やか、人の顔をよく覚える、場に適した会話が続くなど、長男の同時期と比べて色々違いがあります。ここまで育ててみての感想は「なんて楽でかわいくて心が通じるの~!」です。ひょっとして世間一般の子育てって、こういう感じなんだろうか。

「これ以上大きくならないでいい、今がかわいい~」と2~3歳の子に言っているよそのお母さんが信じられず、「早く大きくなって落ち着いてくれ・・・。こっちの身が持たない・・・。」といつも肩で息をするような状態で育てた長男。小学生になった今でも身支度に次男より時間がかかる長男。イヤイヤ期のはずの次男より、イヤイヤが激しい長男。

診断がつくまでは「保育園では普通に過ごしているっていうし、市役所の発達検査でももうっちょっと様子見ろって言われたし、私の子育てスキルがものすごく未熟なせいで長男があんな風なのかな。よそのお母さん、みんなすごいな。私、子育て下手だし楽しめてない。あーあ。でも、やっぱりどう考えてもおかしいんじゃ・・・」と悩んでは「ADHD」とか「発達障害」とか検索してため息をつく日々。まだまだ幼い次男が手がかからないのが特殊なのか、小学生になっても手がかかりすぎる長男が特殊なのか判別もできませんでした。

よく、「障害」って診断がついてショックだったとか、受容するまで時間がかかったというブログなどを目にすることがありますが、私の場合は診断がついて、「だから子育てめちゃめちゃ大変だって言ったじゃん!やっぱり正当な理由があるんだよ、やっと世間的にその大変さが認められた!そして療育受けられる!私一人で背負わないでいいんだ!」って、まず思いました。報われた、感じです。

そして息子の行動にも「なんで聞いてないの!」「なんで今すぐやらないの!」って、いちいちイライラしなくなりました。「なんで」の理由がハッキリしたからです。そして、息子のこれからの人生についても、不得意なことがあることが自他共にわかった上で歩んでいけるのは、わからないよりずっと良いと思います。備えることも、回避策を考えることもできるからです。

ちなみに、カミングアウトとか大げさな感じではなく、息子には「あなた、イライラしやすかったり、すぐあちこちぶつかっちゃったり、忘れ物多かったりするけど、あなたのせいじゃないんだよ。生まれつきなんだって。だから病院に行ったんだよ。」と話してあります。

診断がついて良かった。

息子、恫喝される

発達障害は見た目では解らない場合が多いです。車いすに乗っている方に「道を塞いで迷惑だ」と言う人はまず滅多に居ないでしょう。居たとしても、余程モラルの無い人です。でも、うちの息子が騒ぐと、迷惑そうな顔で見られたり、「我こそはモラリスト」みたいな人に直接注意されることもあります。

今年の夏、家族で工場見学に行きました。その工場は事前に同じ時刻の見学会を申し込んだ20人ぐらいが1グループになって見学するシステムでした。息子は広い施設で走り回ったり、案内の方が話している途中で大きな声で質問をしたりしました。当然、やめるように言いましたが、興奮していたのか2,3回繰り返してしまいました。

迷惑だと思ったのでしょう、グループの中の一人の男性が「いい加減にしなさいっ!」と息子に怒鳴りつけました。息子はへらへらしてその場を離れましたが、私は「ごめんなさいね。生まれつきの障害があって。」と謝りました。連れの女性が「ほら、だから言ったじゃない」と小声で男性に言いながら二人はその場を離れていきました。男性は憮然とした様子でした。

多分、息子の行動に対して私達親の態度が甘すぎる、厳しくないから子供が言うことを聞かないんだ、俺が言ってやる、と思ったのでしょう。でも怒鳴っても無駄、むしろ逆効果のことが多いのです。迷惑をかけたのは申し訳ないけど、頭ごなしに怒鳴りつけるのはやめて欲しかった。そして、私の返答に対して何も言わずに憮然と去っていくぐらいなら、いっそのこと反論して欲しかった。もっと会話を重ねることで理解し合えたかもしれないのに。ただ、私の言葉は相手を「障害者に恫喝した悪者」に仕立ててしまったかもしれません。それ以上、何も言えない、かな。

味覚への敏感さと発達障害

私は子供のころ、給食に非常に悩まされました。冷めた白米がとても苦手なのです。センターから運ばれてくる途中で蒸れて水滴が落ちて冷めた白米。ああ、思い出すだけでも気が重くなるほど苦手で、汁物で何とか流し込んだり、給食係に頼み込んで少な目によそってもらったり、先生に全部食べなさいと怒られて掃除の時間まで食べさせられたり、本当に苦労しました。

ほうきで床をはいたホコリが舞うなかで嫌いなものを食べさせられ、挙句の果てに「掃除をやらないのはずるいから放課後に一人で残って掃除していけ」と言われ、帰り道に「あのマンションから飛び降りたら二度とこんな思いをしないで済むかな」と切実に考えて、でも実行する勇気が出ず、そんな自分を情けなく思ったこともあります。

あの時死なないで良かった。「こんな境遇がずっと続くわけではない、担任が替われば状況も変わる」と何とか気持ちを切り替えて小学5年生をやり過ごし、6年生でリベラルな担任の先生に替わった時は天にも昇るような嬉しさでした。

今は時代が変わって、息子が無理に給食を食べさせられることはありません。バンザイ!今思えば、私も発達の凸凹や味覚(温度)への過敏さがあったんだと思います。というか、今でもあります。出産で入院したときも、病院食の冷めた白米はほとんど残して、勝手にパンを買ったりしていました。もったいないですが、どうしてもダメなんです。そのとき、大人は自由でいいわ~と心底思いました。

過敏さが無い人には、きっと「わがまま」と映るだろうけど、追い込まれて死にたいほど悩んだり、何十年経っても当時の担任を生涯で一番嫌いな人と認識するケースもあるということを、特に学校の先生には解って欲しいなと思います。

「毎日かあさん」に垣間見えるもの

私は出産前から西原理恵子さんの本/漫画が好きで、よく読んでいました。息子が生まれてからは「毎日かあさん」の肩の力の抜けた、でも愛情を注いだ育児の様子に何度勇気付けられたか解りません。そこに描かれる息子君の様子に「男の子って多かれ少なかれこんな感じなんだろうな」と共感しながら、「遊びに夢中だとトイレに間に合わない」「漢字がマス目からはみ出しまくり」「説教しても宇宙との交信が始まってしまう(聞いていない)」「道路の向こうに見えたものに気を取られて車を気にせず横断しようとする」とか、「そうそう、あるある」と思いながら読んでいました。

でもね、周りを見渡してみると、どうやら男の子ならみんなそうではなく、特に就学以降でこういう状況なのって、かなり「特性」っぽいというか。もちろん西原さんのお子さんが発達障害だと言っているのではないですよ。全部実話ってわけでもないだろうし。でも、「毎日かあさん」に描かれている男の子には、発達障害の子を育てる母として、かなり「あるある」を感じ共感するのは確かです。

そのお子さんも「毎日かあさん」の最終巻の中ではすっかり大人びてしっかりして自分の道を歩き始めた。これまた実話とは限りませんが、うちの息子もいつか同じようにしっかりと好きなこと見つけて歩んでいってくれればなぁ・・・と思います。 

お徳用 毎日かあさん 1+2巻

お徳用 毎日かあさん 1+2巻

 

 

学校行事と発達障害

私は学校行事に出向く予定があると、正直気が重くなります。授業参観で悪目立ちする行動をしないかヒヤヒヤしたり、自由行動のあるイベントで一人ポツンとしている息子を見て気をもんだり。

懇談会で家で困っていることを自己紹介がてら言う時間があったときは、「宿題に時間がかかりすぎる」「外で友達と遊んでなかなか帰ってこない」「宿題をやらずに友達と遊びに行ってしまう」など、まあなんともうらやましいお悩みでございますこと・・・と、あっけに取られたり。

うちの子は友達と遊ぶ約束をしてこないし、誘われないし(笑)、宿題だって放っておいたらやらないから付きっ切りだったり。次元が違うので雑談レベルでも共有できないことが山ほど。孤独を感じます。

その点、支援学級では皆ある程度同じような悩みがあって、ホッとして本当に自分が思っていることを話せる、と感じます。そういう場所は絶対に必要。一人では抱えきれません。しかも同じ母親同士だと深く分かり合える部分が沢山あります。夫はもちろん悩みを聞いてくれるし、一緒に考えてもくれるけど、息子と一緒に居る時間が私に比べてものすごく少ないので、なんだか伝わらなかったり、切実じゃなかったり。

息子と一緒に居ると対処しなければならない問題が千本ノックのようにやってくるのです(笑)

でも打っていかないと。当たらなくても。

臭いへの敏感さと発達障害

 最近、新聞の下のほうの広告欄で、こういった書籍をよく見かけ気になっていました。

うちの子も臭いが嫌という原因で1箇所の児童デイを辞めました。最初は平気で通っていたのだから、本当は臭いではなく子供同士の軋轢や先生の好き嫌いがあるのではないかとスタッフさんが色々考えてくれましたが、本人は「そうじゃないよ。臭いが嫌なんだよ」の一点張り。私にはその場所が特に臭いがあるとは感じられませんでしたが、夏休みになってからそう言い出したので、エアコンの使用や夏休みで皆がお弁当を持ってくることによる臭気などが原因だったのかもしれません。換気など色々スタッフさんが配慮してくれましたが、どうしてもダメだというので辞めました。とても良くして頂いていたデイで、私自身のお気に入りだったので非常に残念でした。

息子の症状が診断済の発達障害によるものか、ここにある本のようなものなのか、解りません。でも、「気にするな」「そのうち慣れるよ」といったことは、絶対に言わないほうが良いなと思って対応しました。きっと嫌な臭いに慣れるということはないだろうし、気にしたくなくても気になってしまうものだろうから。なかなか一筋縄ではいかない育児ですが、懐を大きく構えて乗り切りたいです!

ひといちばい敏感な子

ひといちばい敏感な子

 
HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子

HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子

 

 

習い事と発達障害

うちの息子は発達障害だと解るまでに、水泳・体操・サッカー・ロボット教室を全て短期で辞めています。友達がなかなか出来ないので学校以外の居場所を作ってあげたかったのと、体の使い方が下手だし体力を付けて欲しくてやらせた運動ですが、学校だけで精一杯で通う心身の余裕がなく連れて行こうとすると泣き叫んで嫌がるようになったり、サッカーでは他の子とボールを追っているうちにどうしても体が接触することがあり、そこから癇癪を起こしてしまったりで断念。

これだけは続けて欲しいと思っていたロボット教室を辞めたときはショックでした。初期費用もかかり、月謝も高かったけど、息子の得意なレゴブロックを使って輝ける場所・得意分野で人とつながれる場所をと思っていたので。お決まりの癇癪で「絶対行かない!」が何回か続いて断念しました。あーあ。

それからは児童デイのみ行かせて習い事はやらせていません。

最初は飛びつくけれど、すぐに飽きるし何かちょっとした気に入らないことがあると行かなくなるのが身に染みてわかりました。もちろん、最終的には先生次第なんだろうなと思います。理解してくれ受け入れてくれる先生が居れば何とかなるかも。でもなかなかそういう方は居ないし、難しい。習い事に関しては何度も悲しい思いをして、今でもその習い事の場所を車で通ると、思わずため息が出ます。

でも、障害だとわかったから、「他の子は楽しそうに通ってるのになんでうちの子は・・・」と思い悩むことはなくなりました。だって障害だから。しょうがないです。そういう特性なんだから。児童デイも最初は「日曜も行きたい!」というぐらい楽しんでいたのです。でもやはり毎日だと疲れたり飽きたり最初に宿題をやらないと遊べないシステムに憤っていたり、山あり谷ありです。なかなか楽にはさせてもらえない(笑)

でも、それも特性だから、しょうがない。そうやって山あり谷ありしているうちに年齢と共に落ち着いてきているところも少しはあるし、遠い先に、わずかでも希望を見出しながら歩いていくしかありません。一喜一憂せず、落ち着いて対応して、そのストレスは別のところで(ここもその一つ)発散して、なんとか母親やっています!